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皆さんこんにちは!
有限会社西村造園、更新担当の中西です。
造園は土と水の仕事です。植える前に“根が呼吸できる土”を作り、“水が溜まらず、必要なだけ残る”流れを設計する。物理(密度・孔隙)・化学(pH・CEC)・生物(有機物・微生物)という三つの車輪を整える具体手順を、現場で使える粒度でまとめます🛠️🌱。
1|現況診断:10分でわかる“土の性格”
(1) 泥団子テスト:手のひらで握ってヒモ状にのばし、輪っかが作れたら粘土分多め。すぐ崩れるなら砂分多め。
(2) 浸透テスト:30×30×30cmの穴に水を入れ、30分で半分が目標。2時間以上で暗渠検討⏱️。
(3) pH試薬:一般的な庭木はpH6.0〜6.8が安心。ブルーベリー等は酸性寄り(pH4.5〜5.5)。
(4) 踏圧観察:長靴が沈む→過湿、カチカチ→過締固め。ミミズ・団粒の有無も観る👀。 (5) 水みち:雨後の水が集まる低地・車両わだち・犬走りを特定。写真とスケッチに落とす📸✏️。
2|土壌の三要素を整える(物理・化学・生物)
物理性:目標は大孔隙(通気)×小孔隙(保水)のバランス。客土を“乗せる”だけだと層境界で水が止まる” perched water table” を招く。既存土に混和して団粒化を育てるのが基本。 化学性:CEC(陽イオン交換容量)が低い砂質は堆肥・有機物で保肥力を補う。石灰はpH矯正に有効だが入れすぎNG(微量要素欠乏を誘発)。 生物性:腐葉土・バーク堆肥・木質チップで炭素源を供給し、菌根菌を育てる。マルチングは“乾燥・温度・雑草”の三つを一度に制御🌰。
3|改良レシピ(戸建て植栽ピットの目安)
• 寸法:落葉高木φ80〜100cm × H60〜80cm。底は熊手で破砕し四方に根抜けを作る。
• 混合比(体積比):既存土60〜70%+腐葉土20〜30%+バーク堆肥10%+軽石/パーライト5%+緩効性肥料少量。
• pH調整:酸性寄りなら苦土石灰50〜150g/㎡、アルカリ寄りは硫安/硫黄粉微量で穏やかに。
• マルチ:バーク10〜50mm。夏の表土温度上昇を抑え、蒸散で涼しくする🌤️。
• 支柱:二脚/三脚/矢掛。幹擦れ防止の緩衝材を忘れず。
4|排水設計の三段構え
(A) 表面排水:敷地全体に1/100〜1/50勾配。建物から外へ水を逃がす。舗装・花壇・芝の縦横断勾配を図面で通す。
(B) 点排水:雨水桝・スリット。落葉トラップと掃除動線を確保。
(C) 暗渠(フレンチドレイン):抜けない低地に砕石40〜60mm+穿孔管φ100+不織布+洗砂。出口は確実な逃げ先へ。逆勾配・行き止まりは禁物🚫。
5|雨庭(レインガーデン)で“ためて活かす”
屋根・舗装の雨水を一時貯留して浸透・蒸散。断面はマルチ→植栽土→洗砂→砕石→透水管。越水時はスピルウェイで安全にオーバーフロー。湿地強/中湿/周縁の三帯植栽で花期リレーと生態多様性を両立🐸🐝。
6|凍上・ぬかるみ・塩害への処方
• 凍上:凍結深度を踏まえ、透水層+不織布で毛細管を遮断。舗装は目地で伸縮吸収。
• ぬかるみ:点荷重を面荷重へ(芝下補強マット)。動線の分散で痛みを抑える。
• 塩害・潮風:厚葉常緑・亜熱帯系を風下に。真水散水で塩を洗い流す🌊。
7|資材・概算(参考・税別)
• 腐葉土/バーク:1,500〜3,000円/40L
• 透水性舗装:5,000〜12,000円/㎡
• 暗渠一式:6,000〜10,000円/m
• 改良(1㎡×30cm厚):4,000〜9,000円 ※地域・搬入・残土により上下💰。
8|よくある失敗と回避
• 客土の厚盛り→層境界で停滞:既存土とミキシング。
• 植穴底に肥料山盛り→根焼け:側面分散。
• 暗渠の出口不明→逆流:平面・縦断図で逃げ先を明示。
• 防草シートの端部露出→劣化:立ち上げ+重ね100mm以上。
9|ケーススタディ:西日本・重粘土の新築外構
課題:梅雨〜台風期に玄関前が水没、植木が元気ない。 処方:表面排水1/80でラインを通し、暗渠2本を低地に敷設。植栽ピット改良+バークマルチ。雨庭2㎡を併設し、夏の蒸散冷却を確保。結果:水たまりゼロ、表土温度−3.2℃(日中)、活着率100%☀️。
まとめ:根は“空気と水”を欲しがる。混和で団粒化→勾配で逃がす→マルチで守るの三段で、植えた後の3年が楽になります。次回は“暮らしやすさ”を決める動線計画とゾーニングへ🚶♀️。
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皆さんこんにちは!
有限会社西村造園、更新担当の中西です。
1|環境が9割:光と風の読み方
• 南面:夏の直達光は強烈。落葉高木で夏遮蔽・冬採光を両立。窓の前は株立ちで視線をやわらげる。
• 西面:最難関。厚葉の常緑+縦格子で二重遮蔽。熱の放射を夜に逃がす構造に。
• 北面:明るい日陰の主役はシダ・ギボウシ・常緑低木。霜柱の影響を考え、根鉢マルチで保護。
• 風:潮風・冬季の乾燥風は葉焼け要因。緩衝帯を設け、主木を建物の風下へ配置🌬️。
2|土と水:根が呼吸できるか
透水性と保水性の均衡が鍵。団粒化(腐葉土・バーク堆肥・微生物資材)で空気と水を通し、暗渠/表面排水で根腐れを防ぐ。pH6.0〜6.8を目安に、酸性〜アルカリに偏る種は専用花壇で独立させる。
3|樹種の組み合わせ(機能別)
• 目隠し骨格:ソヨゴ・シラカシ・シマトネリコ(過密注意)・常緑ヤマボウシ。
• 季節演出:モミジ・ヤマボウシ・ハナミズキ・アオダモ・ナツハゼ。
• 香り/受粉:ジンチョウゲ・ミモザ・ラベンダー・ハーブ類。
• 日陰の主役:アオキ・ヒサカキ・シダ・ヤブラン。色より質感で魅せる🍃。
4|四季の花リレー(温暖地例)
• 春:サクラ・レンギョウ・チューリップ・ムスカリ🌸
• 初夏:アジサイ・アガパンサス・ラベンダー🌿
• 夏:サルスベリ・ムクゲ・ルドベキア🌻
• 秋:シュウメイギク・ダリア・コスモス🍁
• 冬:ツバキ・サザンカ・クリスマスローズ❄️ “いつ来ても何か咲いている”を狙うと来客満足度が上がる。
5|病害虫・レジリエンス設計
単一種の並木は一発全滅のリスク。多様性=保険。風通しと株間を確保し、IPM(第21回)で予防を主軸に。薬剤は選択性と適期を守る🐛。
6|小さな庭の“主役の作り方”
• 主木1本+下草マットで奥行き。
• 視線カット70%がプライバシーと圧迫感の最適。
• 鉢×地植えのハイブリッドで季節演出を交換制に🔁。
7|植栽表と段取り
• 樹高/樹幅/株数/株間/支柱/マルチ/施肥/灌水を明記した植栽表。
• 植え付け時期:落葉樹は休眠期中心、常緑は春秋。酷暑・厳冬の強行は避ける。
• 養生:支柱・水やり・根元保護で3年活着。
8|ケース:細長い11mの庭
要件:視線カット・芝は最小・夜景きれい。 解:奥に主木で遠近感、手前は低木ボーダー。ウォールウォッシュ+アップライトで光の回廊。目地方向を視線の流れに合わせ“細長さ”を逆に活かす。
まとめ:植物は場所の科学で勝てる。光・風・土・水・温度を読み、機能×季節×維持で組むのがプロの植栽計画です。次回は根が呼吸できる地盤へ——「土壌改良と排水設計」💧。
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