有限会社西村造園
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月別アーカイブ: 2025年11月

第22回造園雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社西村造園、更新担当の中西です。

 

和風庭園は“余白の設計”。借景(遠景)・石組(重心)・露地(作法)という三本柱を、都市住宅のスケールに落とし込むための縮尺と素材の翻訳を解説します。

 

1|借景:抜けと留めの配置
窓から見える遠景を借りる位置に、低い抜け(低木・地被)と高い留め(主木・垣)を置く。水平線を意識して、屋根・塀・石段の天端を揃えると静けさが生まれる。見せたくない物は縦格子70%でやわらかく遮蔽。

 

2|石組の骨法
• 主石は根入れ1/3、座りを最優先。三尊(主・脇・添え)で安定三角。
• 延段・飛石は蹴上60〜90mm、踏面300mm以上。わずかな不揃いが自然味。
• 受け勾配をつけて水を止めない。苔の保護に木漏れ日を確保。

 

3|露地・蹲踞(つくばい)
茶庭の露地は“気持ちを整える道”。手水鉢は地上H500mm前後、竹筧で柔らかく吐水。飛石の止めを設け、柄杓置きの海(水受け)は小ぶりに。腰掛待合は視線が交差しない位置へ。

 

4|垣と扉
建仁寺垣・大津垣・御簾垣などを透過率で選択。人工竹×天然素材のミックスはメンテ低減。煤竹色は現代外壁に馴染む。潜り戸は背を低くして“くぐる作法”を演出。

 

5|樹種と下草(和の調べ)
主木:モミジ・アオダモ・ヤマボウシ・ソヨゴ。低木:ツツジ類・アセビ・ヒュウガミズキ。下草:フッキソウ・ヤブラン・シダ。花は控えめ、葉の質感で魅せる。

 

6|光と雨音
行灯/地中埋込で足元をそっと照らし、壁はウォッシュで面を整える。水盤は薄鉢で雨の音を響かせると、間が生まれる。

 

7|小さな和庭の縮尺翻訳
狭小地では鉢・石・下草を1/2〜1/3スケールに。景石×2で重さが出すぎるなら石+流木で軽やかに。砂紋は目地切りで崩れ防止。

 

8|維持と作法
掃き清め・落葉の“季節の手入れ”が美を作る。手箒で朝のルーティンを庭に。剪定は間引き主体で人工感を避ける✂️。

 

まとめ:和の核心は“引き算”。座り・抜け・留めを押さえ、作法が通る道を用意するだけで、小さな敷地にも“静けさ”は宿ります。次回はスタイル別の洋風・モダンガーデンへ。

 

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第21回造園雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社西村造園、更新担当の中西です。

 

使えない庭は“通れない/置けない/座れない”が原因。歩く(アクセス)・使う(アクティビティ)・眺める(ビュー)の三層で組み立て、寸法と勾配を数字で決めれば、暮らしは激変します📐。

 

1|三層設計のフレーム
• 歩く:玄関→物置→立水栓→駐車場→勝手口を安全に最短でつなぐ。直線より“折れて安全”。
• 使う:BBQ・物干し・菜園・ペットの用途別ゾーンを重ねず配置。
• 眺める:窓からの正面・45°にフォーカルポイント(主木・石・水・オブジェ)。夜は照明で二度おいしい💡。

 

2|ゴールデン寸法(戸建て目安)
• アプローチ幅900〜1200mm(2人は1400mm)
• 飛石ピッチ600〜750mm/踏面300mm以上
• スロープ1/12(最急1/8)、手すりH750〜800mm
• デッキ最小2.4×3.6m(テーブル+椅子)
• 駐車1台2.5×5.0m(余裕+0.5m)
• 立水栓からホース最長15m以内に主要灌水点を集約🚰

 

3|視線コントロールとプライバシー
透過率60〜70%の目隠しが圧迫感と遮蔽の最適。縦格子/生垣/常緑高木を“抜け”とセットで計画。視線の受けに鉢/水鉢/石を置くと落ち着く👀。

 

4|ゾーニング類型と処方
• L字庭:角に主木+下草、長辺を導線、短辺を機能スペース。
• 旗竿地:竿部は演出回廊(照明・低木)で期待感を演出。
• 細長庭:三分割で入口/中庭/奥庭。見切り材で“空間の句読点”。
• 玄関前3㎡:常緑低木+宿根草+低照明で“歓迎の三角”。

 

5|ユニバーサルデザインのコア
段差15mm以内、滑り抵抗のある舗装、縦方向の照度変化を抑える。手すり連続・段鼻視認・雨天の排水を優先☔。

 

6|設備の“行儀”
室外機は吸排気の抜けと遮音、目隠しは通風を妨げない意匠。ゴミ置きは端・日陰に。立水栓二口+ホースリールで“出して巻いて終わり”を実現🧹。

 

7|コスト最適化
“全部やる”ではなく、窓から見える三角形(視界の主領域)に予算6割、残りで機能面。満足度対コストの費効平価が最良📈。

 

8|NG集
• エッジだらけ→掃除が大変:面を大きく/少なく。
• 真っ直ぐ過ぎ→速度出て危険:屈曲で安全に。
• 照明の眩しさ→不快・越境光:遮光ルーバーと低位置で解決。

 

9|ケーススタディ:共働き×子ども×ペット
要件:洗濯・BBQ・子ども・犬。草取りは月2時間以内。 解:人工芝+デッキ+砂利で面を3つに集約。目隠し70%、ドリップ灌水、掃き出し点で手間を減らす。導線短縮で家事が15分短縮/日⏱️。

 

まとめ:庭の価値は導線の設計で決まる。歩く→使う→眺めるの順で配列し、寸法と勾配を数字で固めるだけで“使える庭”に変わります。次回は日本の美学和風庭園へ🍵。

 

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